Greco SA900について考察(セミアコシリーズの全てに共通する考察)

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Greco

はじめに

Greco製のセミアコ「SA900」については色んな仕様の個体を扱ったので今回少し頑張って調べてみました。

年代によって変わる仕様や特徴について順番に考察していきます。

主にヘッドインレイ、ホール内ラベルなどの違いについてになります。

かなり長文になってしまいましたのでお暇な時にでもどうぞ。

それでは始めてみましょう。

SA900について

まず最初に70年代後半から存在するSA900ですが81年のカタログに初めて掲載されるまではPROJECT SERIESなどのオーダーシステムで製造された所謂「カタログ外モデル」だったそうで、カタログ上では800が最上位とされていました。

76~78年 PROJECT SERIES 

PROJECT SERIESのオーダーシステムは76年、77年辺りから始まったそうです。

PROJECT SERIESのオーダーシステムについては77年のカタログVol.8に載っていましたので気になる方はググってみてください。

79年まではそのオーダーシステムを使って製造されていたであろうSA900ですが、大まかにですが市場に流通している個体を見る限り77~78年までは↓

・通常のロゴ、通常のヘッド形状でインレイはクラウンインレイ。ペグはGROVERタイプ。



PROJECT SERIES期の楕円のラベルがホール内に貼ってあります。


77~78年製のSA900はイレギュラーの個体を除けばほぼこの仕様だと思います。

77年の個体でペグがGrecoの「星ペグ」が付いている個体もありましたが基本はGROVERタイプだと思います。(初期の仕様なのかも?)

76年製のSA900はあるのかも知れませんが私は見た事がありません。


79年 大人の事情の頃

79年は大人の事情でヘッド形状とロゴが「GOシリーズの形状とロゴ」に変わっています。ただ1年しかこの形状では作られていないので市場で見掛ける事は結構稀です。(実際は1年も作られていないかもしれません。)


ラベルはこの四角ラベル。おそらくこの79年製のGOヘッド仕様専用のラベルだと思われます。(※のちに違う年の個体にも貼ってあるのが発見されるんですが、、、。)


ちなみにシリアルが79年でもGOヘッドではない個体も見た事がありますが、そちらはもっと希少だと思います。

思うにそのパターンは78年のパーツ在庫が残っていて79年の最初の頃に流用したのかな?と。あくまで想像になりますが、、、。

いずれにしても79年製のSA-900は全体的に希少なのかもしれませんね。

80年~81年 Super Real期

80年になるとSuper Realシリーズが始まり、カタログで見ると80年のカタログに載っているセミアコシリーズは所謂79年製のGOヘッドですがそれは79年の写真を流用したからだと思われます。


81年のカタログには初めてSA900とSA1200が登場します。ただ80年には900も1200も市場では既に流通はしています。

「SA1200」

伝説のピックアップ搭載 No.3 Greco SA-1200
Greco SA-1200こちらは1980年製のGreco製の「SA-1200」。当時のSuper Real期のセミアコシリーズの最上位モデルです。※SAシリーズについてはこちらに詳しく書いてあります。↓(function(b,c,f,g,...



Super Real期である80年~81年には2種類のSA900が流通していたようです。

・まず77~78年製同様の通常のヘッド形状に戻ります。

・ペグがクルーソンタイプに変わりヘッドインレイが2種類になります。


カタログには掲載されていないタイプの「SA900S」。
ヘッドにはクラウンインレイ↓

ラベルはSuper Real期ラベル↓(※手元に1200のしかなくて、、、)




・もう一種は81年のカタログに掲載されているヤンキースロゴのようなGrecoのオリジナルヘッドインレイ、トラスロッドカバーが鐘型ではなく角型?に変わった「SA900」。

ラベルが79年のGOヘッド仕様と同じ「四角ラベル」が使われている事が多いです。ここで再度登場するんですね。ただ稀にですがこの仕様でSuper Real期ラベルが貼ってある個体も有りました。



主観ですが市場では「SA900S」の仕様(クラウンインレイ)の個体の方をよく見かける印象です。

ざっと過去に市場に出た個体を見てみると、

・80年製は「SA-900S」が多い

・81年製は「SA-900」が多い

と感じました。でも81年製で「SA-900S」仕様の個体も結構あったりして、、、。

この頃は結構仕様が混ざっている個体が多くどれも断言ができないのでモヤモヤします、、、。



3種類のラベルについて

確認してみましょう。
ここまで3種類のラベルが出てきましたね。

・PROJECT SERIES期の楕円のラベル 77~79年

・四角ラベル 79年GOヘッド仕様の個体と81年オリジナルインレイ仕様の個体(例外有り)

・Super Real期ラベル 80~81年


調べて分かった事は

四角ラベルは79年製のGOヘッド形状のSAシリーズ全般に使われていた。
79年製のGOヘッド形状のSA700もSA800も同じく四角のラベルでした。

81年製のセミアコ全般にもこの四角ラベルが使われている事が多い事が分かりました。
こちらも700や800も四角ラベルでした。(例外有り)


イレギュラーなやつらがいる!

私が知る情報はそこまで沢山はないんですが数本ご紹介します。(私が知っている以外の個体もあるはずですけどね)

・79年製のSA900、ヘッド形状が「GOシリーズの形状」なんですがロゴが通常のフォントのロゴ。

ペグがクルーソンタイプパターン↓


ペグがGROVERタイプパターン



この79年のイレギュラー個体についているラベルもやはりこの四角ラベル。


ペグがクルーソンタイプパターンは以前に動画とブログに上げていますのでご覧ください。↓

中古楽器は一期一会 No.28 Greco SA-900
Greco SA-900GRECO製のセミアコ「SA900」です。シリアルから見て79年製。こちらは少し変わった仕様でTwitterにもヘッドの画像を上げた個体です。(function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAff...


更なる混乱を生むイレギュラーなやつ登場!

これで全て判明した、調べるの、書くの、メンドクセー、疲れたー、、、読む方も疲れたわ!と思っていたところでしょうが残念なお知らせが、、、更なるイレギュラー品が出てきちゃいました、、、。

・シリアルから81年製
・81年のカタログに掲載されている通常のヘッド形状
・Grecoオリジナルのヘッドインレイ
・トラスロッドカバーが角型
・四角ラベル

ここまでは上記の81年製の「SA900」ですよね。


この個体ですが実はPUキャビティ内に鉛筆で〇/12と書いてありました。(〇は読めない)

扱った当時は12本限定のオーダー品だとは思ったんですが確証がありませんでした。

81年製なのにプロジェクトシリーズの頃のラベルが付いてるのはオカシイと私がまるで噓つきのような突っ込みも受け、、、悲しい思い出が蘇ります。(これについては上記で説明済みです)

それから数年後、、、、、また新たにSA900を入手したんです。手元に来るまで気付かなかったんですが到着して確認していたら何か違和感が?!

あれ?これ前に扱ったあれでは?

しまってあった当時の個体の画像と比べてみたんです。

すると、、、なんと?!

シリアル1番違いの全く同じ仕様のSA900でした。

・シリアル1番違い

・PU裏側の印字も同じ数字

・キャビティ内に〇/12

最初の個体の〇/12↓


数年後に入手した個体 3/12↓



やっぱり12本限定で作られたオーダーモデルだったんだ~。

読めないけど、どちらにも製作者印もありますね。

ちなみに最初に扱った個体は今回調べていて見つけましたが海外に渡ったようでとんでもない価格で取引されてました。大切にしてもらえよ~。




この個体に関してメーカーさんにダメ元で質問してみました。

回答はお答えできない。当時の資料がない。知る人がいない。がほとんどでした。
それでも残っている資料から分かる範囲でとお教えいただいたのが下記になります。

・まず当然このモデルの資料は残っていないので正確な詳細は不明。

・この頃にもショップオーダーはあったそう。

・PUの画像を送ったところ81年のカタログ掲載スペックの「The Groove」ではなく、それ以前のSA900に搭載されていた「U-4000」に近いとの事でした。これに関しても当時のカタログを前提としているので確証はないそうです。

前提としてどれも確証は無いそうです。(そりゃそうだ)

ご回答いただきありがとうございましたm(_ _)m


以前、楽器店の方と話してたんですが当時のメーカーさんは相当数を製造していて、中にはオーダー、限定、特別なハイクラスなどもかなり作っているのでおそらくその都度、紙資料は捨ててると思うと伺いました。(膨大な量になってしまうので、、、。)


特に当時の楽器業界は混沌としていて売れ売れイケイケどんどんだったそうなので、そういったオーダー品などは実際には誰も把握してないのでは?との事でした。

まあ、まさか当時の業界関係者も30年~40年後に「ジャパンビンテージ」なんて言われてこんなに注目(高騰)されるとは思ってなかったでしょうからね。


※追記 この頃の上位レスポールのキャビティ内にも同じように手書きで「〇/〇」とあるのを見かけました。もしかしたら上位モデルの製造過程で数量が分かるように書いていたのかも?



まとめ

兎にも角にもずっと気になっていたSA900についてやっとまとめられました。
まあ、正確なところは不明な点もありますが、ある程度はまとめられたかなと思っています。

調べてみて分かった事ですが今回の考察はSA900に限らず77~81年までのセミアコシリーズの全てに共通する考察だと思います。(700、800、1200、何なら500や550も)

資料が残っていない、知る人がいなくなった、当然どの業界もそうなっていくでしょう。
素人である私のような者如きが何もできないかもしれませんが、こうやって少しでも情報を残せていけたらと思って書き記しています。

もし情報が間違っている場合はお伝えいただければ修正させていただきます。
何でしたら情報がある方はお教えいただけましたら追記で記録として残させていただきますので是非お教えください。

当ブログは全ての記事に言えますが新情報が分かり次第、その都度修正、追記をしていく予定です。
今回のように一部の人にしか共感してもらえないであろう記事も長く育てていければと思っています。

最後に一部画像をネット上、オークションで使用されていた画像をお借りしています。
もし問題がありましたらお知らせいただければすぐに削除させていただきます。

長文を最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m


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